家庭用の針脱毛器について

80〜90年代、まだレーザー脱毛が普及する前は、永久脱毛と言えば針脱毛(ニードル脱毛)しかありませんでした。
今でも確実な永久脱毛と言えば針脱毛なのは皆さんご存じの通りです。
人に見られたくない部位の毛を自宅で誰にも知られずに永久脱毛したい、というのはごく普通にあることです。当時、家庭用には「高周波脱毛器」というインチキ商品が氾濫していましたが、数少ない家庭用の針脱毛器がありました。私の記憶では少なくとも2社ありましたが、私が使用したのは一つだけですのでそれについて書きます。

その針脱毛器は米国のインバネス(Inverness)社のもので、“One Touch Home Electrolysis”というものでした。日本では、ベターライフ株式会社という所が輸入販売していました。商品名は、「ワンタッチ・エレクトロ・ビューティ」でした。(今では販売されていません)
ベターライフ社の沿革 http://www.better-life.co.jp/company/

また、その後 2000年頃までこの針脱毛器は株式会社シービックという所から「ソラール エレクトロニック脱毛器」という商品名で販売されていたようです。(これも現在では販売されていません)

インバネス社も現在では脱毛器を販売していませんが、今でもこの商品は American International Industries という会社から継続して製造販売されています。
販売ブランドとして“One Touch”ブランドと“clean + easy”ブランドの2つがあるようです。

インバネス社(日本) http://www.invernessjp.com/
インバネス社(米国) http://www.invernesscorp.com/
インバネス社の特許 「検出回路つき針脱毛器」 http://www.patentgenius.com/patent/4216775.html
インバネス社の特許 「収納機構つき針脱毛器」 http://www.patentgenius.com/patent/4295467.html
(プローブや針の内部構造が記載されています。実現はしなかったものの、電池をプローブ内に収めて完全コードレスにする構想もあったようです。)
American International Industries社 “One Touch Electrolysis”
http://www.aiibeauty.com/content/consumer/prodcat/remove/cons_onetouch_electrolysis.shtml
(現在“One Touch”ブランドは終了している模様)
American International Industries社 “clean + easy Deluxe Home Electrolysis”
http://www.cleanandeasyspa.com/products/personal/electrolysis/

私は以前ベターライフ社からこの商品を買い、ずっと使ってきました。最近はもうムダ毛がほとんどないので登場する機会もほとんどなかったのですが、時々忘れていたかのように変なところに生えてくる毛を脱毛するのに使ったりしていました。まだまだ十分使える状態ですが、最近予備をと考えて後継機種を個人輸入で購入しました。それで、自分で針脱毛をしたいと思う方の参考になればと思ってこの機械について書くことにします。

現在日本で売っていない家庭用針脱毛器ですが、昔とまったく同じ機械が現在でも海外では販売されています。
もう30年近く継続している息の長い商品です。日本から入手するには、海外の通信販売サイトを利用します。
買い物のしかたは日本の通信販売サイトと同じですから、高校程度の英語を読める人ならそれほど苦労せず購入できると思います。
ただし、海外発送をしてくれるサイトを選ぶ必要があります。“Shipping”や“Delivery”(配送)の項目に、“International”とか“Worldwide”と書いてあるか確認しましょう。

たとえば、英国のbody4real.co.ukから、約30ポンド(1ポンド=130円として約4000円、送料込)で購入することができます。
http://www.body4real.co.uk/product.php?productid=18046
他の脱毛用品販売サイトでも、“Hair Removal” → “Electrolysis”を探すと、大抵見つかると思います。
http://www.folica.com/spa-and-body/hair-removal-electrolysis など。
eBayなどでは、さらに安価に購入することもできます。
http://health-beauty.shop.ebay.com/items/?_nkw=home+electrolysis&_sacat=37802
また日本のアマゾンに“clean + easy”ブランドの針脱毛器を出品する海外の業者も現れたようです。

私がかつて購入した「ワンタッチ・エレクトロ・ビューティ」と最近英国から購入した“One Touch Home Electrolysis”の写真です。



写真:「ワンタッチ・エレクトロ・ビューティ」(左)と“One Touch Home Electrolysis”(右)   (クリックで拡大)

昔のものの方がケースが大きく、毛抜きがセットになっていますが、本体機能は少しも変わっていません。電極を収めるプローブはまったく同じです。操作部は電流調節のダイヤルがあるだけのシンプルなものです。電源は9ボルトの角形電池です(電器店でも売っています)。アルカリ乾電池タイプが長持ちします。消費電力は小さく、普通に使っても一年以上もちます。ただし使わないときに乾電池を入れっぱなしにするとかなり早期に放電してしまうので、使わないときは乾電池のソケットを外しておきましょう。製品には試供品のマンガン乾電池が付属していますが、念のため新品の電池を買うことをお勧めします。
(現在、写真の小型のタイプは販売終了した模様)

動作原理は簡単で、毛と同じくらいの太さの細いステンレス製の電極(先のとがっていない針金)をムダ毛に沿って毛穴に差し込み、弱い直流電流を数秒間流すと、毛穴の中の水分が電気分解されてアルカリ性になり、毛根を死滅させるというものです。電流を流している間、ピリピリとした痛みを感じます。

電流を流し終わるとブザー音が止むので電極を引き抜き、毛抜きのピンセットで毛を引き抜きます。毛穴の周囲が少し腫れますが、数時間で腫れは引きます。一本一本処理しなければならないので、根気がいります。同じ姿勢でずっと作業を続けていると首や腕や背中がつってくるでしょう。慣れた人でも一時間で200本くらいが限度と思います。フレキシブルアームのついた拡大鏡があると便利です。最近はハイビジョン(HD)ビデオカメラが安くなり接写機能が秀逸で、HDMI ビデオ入力のある大画面モニタに映すと肌の細部まで見えることに驚きました。こういうものが昔あればなぁ、と感慨深いものがあります。いずれにせよ明るい照明は必須です。スタンドライトを用意してください。

使い方のコツをいくつか挙げます。

永久脱毛は、とても根気のいる作業です。一回で全部きれいになるわけではなく、一部しかできないでしょうし、脱毛した部位でも休眠していた毛は数ヶ月以内に生えてくるので、また脱毛しなければなりません。それでも、同じ部位を数ヶ月ごとに脱毛していると、毛はどんどん少なくなり、陰毛だと長くても2年程度でまったく生えてこなくなります(陰毛の毛周期は最長で2年程度あります)。毛周期の位相も毛によってバラバラなので、最初の数カ月はコンスタントに一定量の毛が生えてきます。これを見て「効果が感じられない」と言わずに確実に脱毛していくことが、永久脱毛を最短で完成させる道です。
かつてあれほどモジャモジャだった部位がスベスベになっているのを見て触って実感するのは至福のひとときです。
ぜひ頑張ってムダ毛のないお肌を手に入れてください。上記のレビューが多少なりとも参考になれば幸いです。

なお、医療機関などで行う針脱毛と違ってこの脱毛機の針は根元が絶縁されていませんが、それには理由があります。

この脱毛器の原理は「電気分解法」と言って、針脱毛の一番古くからある方法です(英語では "electrolysis" といいます)。「電気針脱毛」と呼ばれることもあります。電流に直流電流を使うことが特徴です。
脱毛の原理は、針をマイナス極として直流の電流を流すことで、毛穴の中の水分を電気分解するものです。
針から電子が放出され、水を水素分子(気体として分離)とアルカリ基(水酸基)に分解します。
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
強いアルカリ液で毛乳頭を死滅させるというものです(pH の高いアルカリ液にはタンパク質などの有機物に対する腐食作用があります)。
脱毛中に、毛穴から小さな泡が出てくることがあります(気体の水素ガスです)。
電気分解ですので、熱は出しません。毛穴の表面が焼けるということはありません。ただし電流をあまりに長時間流すと、電流による損傷(電気火傷)の危険はあります(白っぽくなります)。
また、針はマイナス極なので損耗しません。
ちなみに対向電極側(プラス極)は酸性になり、電子を引き抜かれた金属原子が陽イオンになって溶け出して表面が錆びたようになります。陽イオンは一般に有毒なので指を舐めたりしないでください。(濃度的には直ちに健康を害するほどではありませんが)
またこの脱毛法は、化学物質を生成してその化学反応(腐食作用)を利用する方法なのでエネルギー効率が極めて高く、熱を発生させる方法に比べてはるかに小さな消費電力ですみます。

一方、電気分解法の欠点は、時間がかかることです。毛一本に最低でも5秒程度は必要です。
この欠点を補うため、熱を利用する交流法が生まれました。針の周囲を交流電流で熱して毛根を熱により破壊するものです。
したがって破壊の原理はレーザー光によるものと同じです。問題点は、針を毛乳頭までしっかり届かせる必要があることと、針が接する部分全体が熱による火傷を負うことです。毛穴の表面の表皮も損傷し、跡が残ることがありました。
しかし時間は一秒以下の短時間で済みます。
商業的に行う場合、いかに短時間で多くの施術をこなすかが重要なので、交流法が主に利用されます。
交流法では、表皮に熱を与えないように針の根本を絶縁したものを使用する「絶縁針脱毛」が主流です。

そういうわけで、電気分解法で使う針が絶縁されていないのは正常です。熱を出さず表皮を損傷しないからです。

家庭用針脱毛器を個人輸入する方法

上記の家庭用針脱毛器は現在日本国内では販売されていませんが、個人で海外から購入することはできます。参考までに、海外の通販サイトから針脱毛器を購入する場合の操作例を解説付きで掲載しました。

家庭用針脱毛器の取扱説明書

従来日本国内または海外で販売されていた家庭用針脱毛器の取扱説明書を参考までに掲載します。これらの製品はすでに販売を終了しています。